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Kyoto Startup Monthly Discussion #04レポート(2021/9/15開催)

Kyoto Startup Monthly Discussionは、京都から若い世代の起業家を創出するため、京都で活躍する先輩起業家とのパネルディスカッションや交流を通して、起業に対するハードルを下げ、京都から起業しやすい世の中をつくっていくことをミッションとしているイベントです。
今回は「受験革命の全貌」をテーマに、株式会社ENロジカルCEOの廣瀬哲人さんをゲストに迎え、モデレーターの桺本さんを通じてお話をお伺いしました。

株式会社ENロジカルは、学習オンラインコーチング事業「となりにコーチ」を運営する会社で、設立してまだ一年程にもかかわらず、多くの難関大学合格実績を残している新進気鋭の会社です。受験生は受験勉強の約70%が自主学習である、という点に着目し、7割の時間をマネジメントするコーチングに注力されています。自主学習におけるコーチングは、従来ならコーチの経験や実力に比例するもので、熟達した人しか学習コーチングを遂行できないことが課題でしたが、「となりにコーチ」では開発中のコーチングシステムにより、コーチングシステムをノウハウ化した上で、映像コンテンツを用いて生徒の疑問点を払拭し、さらに生徒を細かく管理することによってそれらの問題を解決。また、コーチング内の挙動を全てノウハウ化、形式化したことによって誰もがコーチングすることが可能になり、会社の強みとなっています。今後は、企業と協力しながらコーチングメソッドを全国に展開したり、11人に合わせた学習法のレコメンドをしたり、と学習コーチングをより高度なものへ発展させていくために活動されています。

桺本さん:一般的な受験のメソッドを変えてコーチングしようと思った理由は?
廣瀬さん:きっかけは2つあります。1つは自分自身の経験です。僕は大学受験の時大手予備校に通い、たくさん授業をとっていました。特に国語に力を入れて勉強していたのですが、いざ志望校の配点を調べてみると国語の配点パーセンテージがとても低かったんです。そこで今までやってきた勉強が無駄だったな、と感じました。一般的な学習塾は授業をたくさん行う指導方法です。でも僕の経験上、すべきことを受験から逆算していかないとその指導方法は意味がないと気づきました。

2つ目はマーケットの観点からです。今はYoutubeなどで予備校の授業が無料で受けられる時代です。すばらしい教材を無料で簡単に手に入れることができます。そこで生まれる顧客の課題として、たくさんの教材がある故に目移りしてしまうことが挙げられます。途中で目移りしないよう、サービス側が管理しないと結果は出ないと思っていまして、情報が溢れたこの世の中で、次に必要なのは生徒をつなぎとめる存在だと考えたのがきっかけの1つです。

桺本さん:事業を始めてたったの1年間で多くの難関校への合格実績が出せるような、結果がすぐに出るロジックはありますか?
廣瀬さん:僕と取締役の粂原が、今まで500人以上の生徒を直接指導してきて、この方法なら成果が出る!という方法をコーチングに落とし、経験値をベースにノウハウ化している、というのが大きいです。ノウハウ化することによって結果も出るし、その結果の質が担保されているので満足度が高く、口コミやネットなどで広がっていくサービスになります。

桺本さん:生徒のこの部分を管理しておけばいい、などの具体的なポイントはありますか?
廣瀬さん課題として一番大きいのが、モチベーションのキープです。1人ではモチベーションは保てません。そこで、オンライサービスの強みが生きてくると思います。我々はタッチポイントとして、勉強を始めるタイミングと終わるタイミングで報告をもらっています。そのため、生徒が何時間勉強したのか全て把握していることになります。生徒からすると、手に集中のスイッチを持っているような感覚になり、それに伴い勉強時間も伸びます。勉強時間が伸びれば効率も上がる、といった仕組みです。

※右側:株式会社ENロジカルCEOの廣瀬哲人さん
 左側:モデレーター 桺本 頌大さん

桺本さん:毎回勉強のタイミングを報告する作業を高校生ができるのか、という心配があるのですが、何か工夫などはされていますか?
廣瀬さん:僕らは初めに学習法の改善から入ります。コンテンツを用いて、まず勉強の基準を変えるんです。難関大学受験生との基準格差を無くして勉強時間を増やし、各分野を受験生が迷わないように全部、かなり細かくコンテンツ設計しています。

桺本さん:ということは、参考書を進める時点で既にその参考書を研究した上で進めているのですね。

桺本さん:コーチングスキルをすぐに身につけることが出来る秘訣は?
廣瀬さん:コーチングは問いの発見と解決策のレコメンドなのですが、我々はそれをもう確立させています。僕たちはコーチングが始まったらまずアイスブレイクとして、自分の勉強を自己採点してもらいます。そこで自分の問題をしっかりと把握してもらった上で、それに対応したコンテンツを見せるのです。このアイスブレイクには力を入れていまして、オンラインだからこそ、お互いが仲良くなるような仕組みを構築し、生徒とコーチの心理的な繋がりを大切にしています。

桺本さん:今後、事業をスケールしていくために何か目標はありますか?
廣瀬さん:全国的に展開するためにはまず、コーチを増やさなくてはいけないなと考えています。今は基本的に京大生がコーチをしていますが、生徒の目指す大学の偏差値を少し下げた時に対応できるのか疑問があるため、まずそこの再現性を高めて行きたいですね。また、競合優位性を作りたいと考えています。例えば、1人1人の認知経路の特性を把握することによって、その人の最適な勉強法をレコメンドし、コーチングの質を上げて行きたいと思います。

桺本さん:学生起業をしたきっかけはなんですか?
廣瀬さん:ずっと起業したいとは考えていて、起業するなら早ければ早いほどいいかな、と思い学生起業しました。就職は起業してからでも遅くないだろう、と考えていましたね。

桺本さん:事業に教育業界のコーチングサービスを選んだきっかけはなんですか?
廣瀬さん:僕の経験値とマーケットのニーズ。それに加えてマーケットから見た僕の資産は、学歴が高い人が周りにたくさんいることでした。これを活用して何か事業ができないか、と考えたのがきっかけですね。

桺本さん:自分が持っているスキルや自分のいる環境から逆算していったのですね。廣瀬さんが京大ではなかったら別の事業をやられていたかもしれませんね。

桺本さん:学生起業をして良かったこと、苦労したことはありますか?
廣瀬さん:良いことは2つあって、1つは学生はバーンレートが低いこと。バーンレートが低いとチャレンジの回数が増えチャンスも増えるので、良かったですね。2つ目は良い意味で期待値が低いこと。期待値が低い中でしっかりやっているとその差分で高く評価してもらいやすくなります。苦労したことで言えば、バーンレートが低い上にプロフェッショナルの人材が集まりにくいことです。学生は社会人コミュニティに入っていないので、人脈が少なく、苦労しました

桺本さん:学生起業を目指す人にメッセージを!
廣瀬さん:学生起業はしたほうがいいと思います。僕は極端なことをすべきだと思っていて、起業がしたいなら休学して起業にすべての時間を使うといいと思います。そうすると、たくさんの学びがありますよ。

約一時間にわたって行われた今回のオンラインイベント。
難関大学は多くの高校生が目指す憧れの場所でもあります。
辛いだけの受験ではなく、「となりにコーチ」のようにコーチと二人三脚で、勉強を効率的に楽しく出来るといいですね。

(レポート作成:澤村 花霞)

 

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