EVENT REPORTイベントレポート

【Kyoto Startup X Vol.1】 ~ エンジニアから広がるKyoto Startup Ecosystem (2022/1/26開催)

– Kyoto Startup Xとは
新しいイノベーションを生み出すスタートアップが世界的に注目されています。
アメリカ・シリコンバレーではGoogleやFacebookといった、今や人々の生活には欠かせない製品を生み出す企業が生まれ、世界に羽ばたくスタートアップを生み出す地域としての流れは今も連綿と続いています。

一方京都には、長い歴史により育まれた伝統産業から、大学・企業で生み出された技術を取り入れた先端産業まで多様な産業構造があり、明治初期から何世代にもわたって、数多くの独創的な技術を持つベンチャー企業が生まれ、「ベンチャーの都」と称されました。

京都が今後世界へ羽ばたくスタートアップを生み出し、「スタートアップの都」として”Kyoto”の名が世界に知れ渡る日を目指して 〜 そんな未来を思い描いて実施するフラッグシップ・イベントがKyoto Startup Xです。

様々な観点で京都におけるスタートアップ・エコシステムをご紹介し、参加者の皆様に様々な切り口で

”Why Kyoto ?”

を感じていただけるように運営してまいります!

今回は2022年1月26日に開催されたKyoto Startup X 第一弾、

エンジニアから広がるKyoto Startup Ecosystem

についてレポートしていきます!

スタートアップにとってプロダクト開発を主導するCTOやエンジニアを採用することを課題に感じているスタートアップの方も多いのではないでしょうか。一方京都ではその世界的な知名度もあいまって海外出身あるいは首都圏エンジニアの方の活躍の場が増えつつあります!

そこで本イベントでは、エンジニアを採用する側とエンジニアを育てる側、双方の目線から海外エンジニアへの期待や難しさを感じるポイント、および各社で実施している支援内容、またリモートで携わっていただく際の注意点などを深掘りしてお伝えしました。

今回ゲストとして、フランス発のコーディングスクール Le Wagonより、コミュニティ&イベントマネージャーSasha Kaverina さんをモデレーターとしてお迎えし、さらに京都を拠点に活動するスタートアップより、エンジニア採用や開発サイドに携わる以下3名の方にお越しいただきました。

本イベントでは主に、

  • エンジニアにとってなぜ京都は魅力的なのか?
  • スタートアップにとって外国人エンジニアを雇用することのメリットとは?
  • エコシステムとしての京都の課題と可能性とは?

といった内容について様々な議論が繰り広げられましたので、以下ご紹介します!

 

キーノートセッション(Le Wagon Sasha Kaverina さん)

次に、Le WagonのSasha Kaverina さんより本イベントのトピックに関するキーノートセッションを行っていただきました!

パネルディスカッションに先駆けて、エンジニアとスタートアップの関係についてLe Wagonの事例を引きながら紹介をしていただきました!

Le Wagonについて

 Le Wagonは、社会人向けに英語での洗練されたプログラムを提供するコーディングスクールで、現在44の国と地域に活動拠点が持ちつつ多くの海外エンジニアを輩出しています。

日本におけるLe Wagonの卒業生は楽天、Googleをはじめとする巨大テック企業にて活躍しており、エンジニアとしてキャリアを始めるまさに登竜門といえるでしょう!

日本におけるエンジニアリングの重要性

Sasha Kaverina さんは、
「どうしてブートキャンプ式のコーディングスクールは日本で需要があるのか」
という疑問を提示し、その答えとして

  1. エンジニアリングを学ぶことが、将来的に需要が高まる職業へとつながること
  2. 日本にIT人材が不足していること

の2点を提示されていました。特に後者は日本のエコシステム全体で長年課題とされている問題であり、自ずと外国人のエンジニアに注目が集まる理由ともなっています。

合わせて採用する企業側が取るべき活動について、外国人のエンジニアを採用するケースを想定し、給与面における魅力の向上やビザ習得のサポート体制の強化に努めていくことが重要である、と述べました。

 

パネルディスカッション

参加者の紹介

まずは、今回のパネルディスカッションに参加していただいた京都のスタートアップ・ゲストの方々をご紹介します。

株式会社Koeerü
Chief Design Officer (CDO)
長野 草児さん

昨年設立した京都のIT系スタートアップで、顧客の声の収集による顧客問題の解決を業務の中心に置いています。特にその情報を集めるプラットフォームの形成には、テクノロジー部門で働くエンジニアが関わっています。

また株式会社Koeerüのメンバー計26人のうち19人が外国人で、エンジニアやデザイナーとして活躍しています。

 

株式会社HARUCUS
HR Manager
菊本 知美さん

株式会社HARUCUSは2014年に起業した、医療、および産業の分野でAIを使用した技術を開発・提供するスタートアップです。

80人の従業員のうち約25%が外国人で、こちらもグローバルな気風を持つスタートアップです。

株式会社KOHII
CTO
太田 優成 さん

コーヒーと人をつなげる」をコンセプトに、コーヒーをもっと楽しむためのコンテンツやアプリ内で気に入ったアイテムが購入できるストア、コーヒー体験をシェアできるスナップ機能などを備えたコーヒーコミュニティアプリを提供するスタートアップです。具体的には

  1. コーヒーの知識を深めるさまざまな読み物
  2. 日本全国のロースターのコーヒーおよびコーヒー器具のマーケットプレイス
  3. スナップを通してコーヒーラバーとつながるコミュニティ
  4. 日本全国のロースターからおすすめのコーヒーが届くサブスクリプション

という内容となっています。こちらも昨年創業した新進気鋭のスタートアップです。

 

ディスカッション内容

今回のディスカッションは、京都スタートアップの3名にSasha Kaverina さんを交えた4名で行われました。
主にエンジニアに関する、以下の5つの観点についてディスカッションが進められました。

 

1. エンジニアを採用する際に経験した課題や懸念点

まず1つ目の質問では、国内外問わずエンジニアを採用する際に関する内容について議論がなされました。サーシャさんがファシリテーターとなって進めていきます。

(以下、敬称略)

長野
まず、グローバルな意識を持ったエンジニアを採用することは一筋縄ではいきません。
例えばよく言われる言語的な壁として、社内での会話は英語が基本でも、クライアントが日本人なら日本語でコミュニケーションをとる必要があります。また言語の壁だけではなくマインドセットの問題も非常に大きく関係します。

また社内的な課題として、社内のエンジニアはエンジニア同士のコミュニケーションだけではなくデザイナー部門など別の担当者とのかかわりが不可欠になります。そうした他部門とのかかわりを持てるエンジニアを見つけることは簡単ではありません。

さらに、自社ではデータ収集の仕事が多いため、ゲーム開発のようなエンジニアにとって魅力的な仕事に比べて劣る部分があるという点があり、そうした中で採用をしていくことが比較的困難であると感じています。そのようなエンジニアにとって魅力的な事業内容、というのも課題になりうるかもしれません。

サーシャ
1点目の内容について、一般的な企業であればエンジニアはチームで動いていて、渉外担当(プロジェクトマネージャー)は別にいると思うのですが、そういう担当は雇っていないのですか。

長野
もちろんPM(プロジェクトマネージャー)も在籍していますが、PMはエンジニアの知識がどうしてもエンジニアに劣っています。だから会議にはエンジニアもPMも参加するようにしており、その観点からエンジニアも交渉能力は有しておくべきであると考えています。問題意識の共有等も、そうしたコミュニケーションを通して行われると考えています。

サーシャ
よくわかりました。では菊本さんと太田さんにも同じことをお聞きしたいと思います。

菊本
コロナ禍以前は、東京オフィスに集まることができるため、採用拠点も東京近郊に絞って採用することが可能でした。

しかしコロナ禍でリモートワークが推奨される中、フリーランスとして地域に散らばるエンジニアの方々を採用することに困難を感じました。

対面でのコミュニケーションの機会も大切にしていたり、エンジニアであってもお客様を訪問する機会があるので、現状は京都か東京の事務所どちらかに通勤できる距離に居住いただくことをお願いしています。ただ、採用の難しさやチームの多様性の面で、今後は考え方に変化があるかもしれません。

太田
まだ若い会社であるため、外国人エンジニアを雇ったことがなく、また国内外問わずエンジニアを育てる余裕がなかなかないのが現状です。

そして私たちの会社はは京都にあるのですが、京都まで来てくれるエンジニアが少ないと感じています。まして外国人エンジニアは特に集めにくいですね。

 

2.外国人エンジニアを採用したこと/採用する予定について

サーシャ
皆さん、この質問についてはいかがでしょうか。

長野
はい。私たちの会社はハノイにオフィスがあるため、多くのベトナム人エンジニアを雇っています。ほかにもアメリカやシンガポールからのエンジニアも働いています。

外国人エンジニアを雇うことで、国際的な感覚を有した人を集めることが可能となり、事業的にもグローバルなプラットフォームを作ることが容易になると思います。

菊本
わが社では海外出身の方が15人在籍していて、そのうち10人がエンジニアです。

最初にエンジニアを採用しようとしたとき、日本国内のサイトでは候補者が集まらなかったため、海外の国々のローカルなサイトを利用して集めました。

太田
今は日本国内外を問わず、まずはチームのカルチャーにフィットするエンジニアを雇おうと考えています。

その理由としては、まずは事業拡大を目指したいという思いがあるからであり、海外に事業展開したいときにはおのづと外国人エンジニアを雇うことになるかと思います。

3. 外国人エンジニアを採用することのメリット

長野
大きく分けて3つのメリットがあります。

まず1つ目は、私たちの会社のビジネスはグローバルなプラットフォームが前提であり、いろんな国の情報を集めたいときに、そうしたプラットフォームが形成可能な国際的なチームであるほうが有益であるという点です。

2つ目は、その国の特性に特化した開発品を作れるという点です。日本人ならやはり日本人の好みの傾向を理解していると考えられますし、できた製品がその国で受け入れられやすいことが多いです。

3つ目は、外国人エンジニアを雇うことで、日本人のエンジニアにとってグローバルな環境や他言語が飛び交う環境が形成され、そうした成長できる環境を好む日本人のエンジニアを集めやすいという点です。

菊本
外国人特化の商品を作る際に外国人エンジニアは活躍しますし、ビジネス・交渉面においても幅広い国籍の顧客を扱いやすいというメリットが挙げられます。

さらに国籍に問わず誰もが働きやすい環境を作るために、特に従業員に対してグローバルなマインドセットを形成することができる点もメリットと言えます。

太田
非常にシンプルですが、職場環境における多様性はイノベーションやソリューションを生じさせる傾向にあると、一般的にいえると思います。

 

4. 外国人エンジニアを採用することのデメリット・課題

サーシャ
次はデメリットについてです。同様にお考えを教えてください。

長野
顧客が日本人のとき、外国人エンジニアにとっては言語の壁が課題になります。

また技術的な面だけではなく、積んできたビジネスの経験が異なっているため、時に理解の違いが生じることもあるかと思います。しかしこの経験の違いがよい結果を生んでいることもあります

菊本
長野さんの言語の壁という課題に加えて、文化の違いも挙げられると思います。またそれに起因して性格上のミスマッチが生じる可能性があります。

そうしたミスマッチを防ぐためにも、できるだけ会社の情報を開示して、採用の前には外国人エンジニアに会社のことを理解してもらうように心がけています。

太田
言語の壁はもちろんのこと、日本の市場自体を理解してもらうことも難しいのかもしれないと考えています。

しかし逆にエンジニアというポジションでは、外国人だろうが日本人だろうがそこまで気にすることもないかと思います。プログラミング言語は共通のものであり、それについて話す場合はほとんど言語の壁は気にならないと考えています。

 

5. エンジニアにとっての京都エコシステムとは?

サーシャ
では最後に、皆さんにこの質問をしたいと思います。

長野
これもまた、3つあります。まず、わが社はITだけでなく、デザインにも重きをおいています。京都はデザイン分野においても有名な場所となっています。

二つ目は、京都はビジネスにおいて有利に働くコミュニティが形成されています。そのためイノベーションが起こりやすい環境が整っているといえます。

最後に、大学、企業、公的機関のデータが集約されていることが挙げられます。さらにそうした団体間に情報のネットワークが存在しています。

これらが京都の評価であり、さらにこれらなしではわが社のビジネスモデルは成立していないことから、わが社が事業所の場所を京都を選びました。

菊本
私はこの質問をメキシコ出身のチームメンバーに投げかけてみました。彼が言うには、京都はモダンな部分と伝統が融合していて、そのバランスがちょうどいいとのことです。

京都はとてもユニークな場所だといえますね。

サーシャ
太田さんはもともと東京の大学を卒業されていたのですよね、なぜ創業の地として京都を選ばれたのですか。

太田
後付けの理由ともなりますが、京都は街の近くに自然や公園もあり、コミュニティも形成されていることから、エンジニアやスタートアップのような個人的な仕事が多い働き手にとって、最も好ましい土地であると思います。

実際に来てみるとエンジニアや友人、文化、そしてビジネスに直結するコーヒーの店に恵まれており、京都という土地の良さを実感しています。

特に私は南禅寺が好きですね。(笑)

 

まとめ

今回は、京都×スタートアップというかけ合わせの中で、特に外国人エンジニアの採用とチームビルディングについて議論が活発に行われました。

ご登壇いただいたスタートアップの中にはすでに多数の外国人を雇っている企業もあり、その中でのメリットやデメリットについて、現場の生の声を聞くことができました!

特に外国人エンジニア特有の技術に注目するだけではなく、雇うことによって副次的にビジネスチャンスが拡大したり、職場によい変化がもたらされたりするというメリットを考えてみると、その効果は想像以上なのかもしれませんね。

– 今回の”Why Kyoto ?”
伝統や自然などKyotoの独自性と、デザインやデータ分野での先進性がうまく融合
その中で育まれるコミュニティが国内外のエンジニアを魅了している

次回となるVol.2も開催を予定しており、下のPeatixにて情報公開しますので、是非フォローのほどお願いいたします!
https://peatix.com/group/11639662

 

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