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Kyoto Startup Monthly Discussion #09レポート(2022/2/16開催)

Kyoto Startup Monthly Discussionは、京都から若い世代の起業家を創出するため、京都で活躍する先輩起業家とのパネルディスカッションや交流を通して、起業に対するハードルを下げ、京都から起業しやすい世の中をつくっていくことをミッションとしているイベントです。
今回は「工場DXのための現場向け工程管理SaaS MonoRevoが起こすものづくり革命」をテーマに、ものレボ株式会社の細井雄太さんをゲストに迎え、モデレーターの桺本さんを通じてお話をお伺いしました。

ものレボ株式会社はものづくりにおけるサプライチェーンをターゲットに、産業革命を起こすことを理念とし活動されています。高成長を続ける世界の製造業に比べ、日本の製造業のGDPはここ30年間横ばい状態。これを改善するために、産業基盤が実装された新しいものづくりの生態系をVISIONとし、デジタル産業革命の一角としてクラウド工程管理の「ものレボ」を開発されました。中小製造業の工場DXの実現へ向け、工程管理を中心にSCMSaaSで提供されています。現在、導入実績は100社以上に上り、日本の製造業の成長に大きく貢献されています。

桺本さん:起業のきっかけはなんですか?
細井さん:僕らは起業前に自動車部品メーカーで、ものづくりをするための技術開発をしていました。アメリカに日本の技術者として行った際に、日本のものづくりの技術はやはりすごいなと改めて感じました。しかし、ある日工場に行くとアメリカの技術者たちがたった一晩で生産ラインをデジタルで見えるようにしていたんです。そこで僕は日本の製造業が諸外国に抜かれていくことに危機感を覚えました。日本が持つ高い技術力をデジタルでうまく活用し、変えていけないか、と考えたのが起業のきっかけになります。

桺本さん:どのようなSaaSなのですか?
細井さん:我々のSaaSは製造現場で使うものになります。中小製造業の現場というのは、10人ちょっとの少人数で月に何百件もの注文を回しておられます。そのため管理にまで手が回らないことが多い。それをお手伝いする形でして、納期に対して計画を立て、その計画に対して進歩が見えるようにしています。

桺本さん:僕も実は製造業で働いているのですが、現場ってパソコンに対する抵抗感がありますよね。その部分に関して何か工夫はされましたか?
細井さん:製造現場ではパソコンを触っている暇なんかありませんよね。工夫としましては、字を読まなくてもパッと見て分かるようなデザインにしました。操作は全てタッチ、もしくはマウスで行うことができます。キーボードを打つ必要はありません。

桺本さん:工程管理とは具体的にどういうものですか?
細井さん:例えば鉄製品を作る際は大きな鉄板を一枚買ってきて、それをカットして曲げ、溶接し、組み立て、検査をします。こういった工程をいつ、誰がやるのか、ということを計画し、見える化します。

※右側:ものレボ株式会社 細井 雄太さん
    左側:モデレーター 桺本 頌大さん

桺本さん:サービスを導入した後、現場の担当者だけで構築してスタートできるのですか?
細井さん:基本的にそんなに難しい設定はないので、ITリテラシーがある人であれば直ぐに、自分で使えるようになります。そうでなくても、こちらの方でカスタマーサクセスと呼ばれるチームを用意しておりまして、これはその名の通り、お客様の成功にだけコミットするチームになります。このチームでどんな人であっても運用できるよう、お手伝いさせていただいております。

桺本さん:今後はどういったサービスを展開していきたいですか?
細井さん:初めに申し上げた通り、僕の仕事はものづくりをするための技術開発、いわゆる生産ラインを作る仕事でした。生産ラインは売っているものではないので、自分たちで作らなくてはいけません。よって、すごく沢山の部品が必要になってくるため、膨大な部品を一気に仕入れ先にお願いするんですが、10人程度の町工場ではできない、と断られてしまうんです。頼みたい仕事が行き場を失い、結局日本中の町工場にFAXで案件を回し、発注先を探す、というとてもアナログな方法しかなくなります。

この状況を改善するため、図面をアップロードしたら受注可能な工場と瞬時にマッチングするようなシステムを作りたいと考えています。デジタルによって工場が繋がるようになると、それができるようになるんです

桺本さん:他に競合はありますか?
細井さん:沢山あります。他の競合のように、僕らも起業して一番初めに作ったのはマッチングサイトだったんですが、大コケしてしまいました。

桺本さん:なぜコケたんですか?
細井さん:300万で会社を立ち上げたんですが、マッチングのサービスを作るのに280万使ったがために運営できなくなっちゃって(笑)。もうひとつの理由として、マッチングがうまく行かない、というのもあります。発注したい人はどんどん増えていくのに受注したい人が増えないんです。プラットフォームはツーサイドビジネスで、ツーサイドビジネスをするためにはコアとなるインタラクションを最高のものにしなくてはいけません。それなのに、マッチングをするためのキュレーション体制が整っていませんでした。マッチングをしてからその工場をデジタルで良くしていこう、と考えていたのですが、その逆であることに気づいたんです。

桺本さん:次のプラットフォームへはいつ頃進むつもりですか?
細井さん:もう今から始めようかと。デジタル化がうまく行った会社さんは他社と繋がりたい、と考える方も多くて。

桺本さん:確かにわざわざ連絡して納期を答えるより、工程管理を共有してそれを見て発注してもらった方が手間はかからないですもんね。
細井さん:そうですね。共有機能は今から実証実験していくので、それに賛同してくださるお客様の間で検証を始めたところです。

桺本さん:SaaSを利用されている会社からの評価は?
細井さん:とても好評で、中には売り上げが伸びた会社さんもいらっしゃいます。

桺本さん:やはり生産の管理ができるかできないかで大きく変わってくるんですね。
細井さん:1番のきっかけは、みんなが見えるようになることでそこからコミュニケーションが始まるところです。僕らのソリューションは動くホワイトボードのようなもの。コミュニケーションツールとしても優秀で、営業や管理の方からも好評です

桺本さん:今後、採用人数を増やしていかれるのですか?
細井さん:お客様も増えているので採用人数も増やすと思います。海外進出も積極的にやっていこうと考えておりまして、ネイティブな人を増やしていきたいですね。

桺本さん:起業を目指している方にメッセージを!
細井さん:私が起業をしようと思ったのは就活をしていた時でした。自己分析をした結果、僕は安定よりインパクトを選びました。これから新しい自分の人生を切り開いていく中で、将来の自分が後悔しないように意思決定してください

1時間にわたって行われた今回のイベント。
日本の技術力は世界に誇れる宝でもあります。
デジタルと融合し、うまく技術を活用できれば、日本の産業革命を起こすことも夢ではないのかもしれませんね。

(レポート作成:澤村 花霞)

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