イベントレポート
Kyoto Startup Monthly Discussion #10レポート(2022/3/16開催)
Kyoto Startup Monthly Discussionは、京都から若い世代の起業家を創出するため、京都で活躍する先輩起業家とのパネルディスカッションや交流を通して、起業に対するハードルを下げ、京都から起業しやすい世の中をつくっていくことをミッションとしているイベントです。 今回は「僧侶が立ち上げた京都の新電力会社 ソーシャルグッドな再生可能エネルギーとは」をテーマに、TERA Energy株式会社CEOの竹本了悟さん、コミュニティマネージャーの唐溪悦子さんをゲストに迎え、モデレーターの桺本さんを通じてお話をお伺いしました。
TERA Energy株式会社は電力の小売会社で、僧侶4人で起業されました。収益性の低いボランティア団体や企業など、資金不足で困る団体のためにTERA Energyの「寄付つき電気」を購入することにより、電気代の最大2.5%が寄付されます。顧客は応援したい団体を選ぶだけ。それだけで具体的な支援ができ、寄付先との細く長い温かな関係を構築することができます。また、再生可能エネルギー由来の電力を調達・供給しているため、空気を汚さず奪い合わない循環を作り、かつ、海外からの輸入に頼らない電力供給が可能となっています。
桺本さん:起業しようと思ったきっかけはなんですか? 竹本さん:最初は自分たちで電力会社をやるつもりはなく、別の電力会社さんにサービスの仕組みを提案しに行ったのがきっかけです。その時の社長さんが『そこまで具体的に考え、強い想いがあるのなら自分達でやったほうが理想通りのサービスがつくれると思うよ。』と言ってくださり、起業することを決めたんです。行き当たりばったりで目標が明確にあるわけではなかったので、起業に対するハードルは高くはありませんでしたね。 桺本さん:周りの人の支えがあってこその起業ですね。 竹本さん:そうですね、初めは起業のイロハもわからない状態でしたし。でも逆にそれが良かったのかもしれません。不安材料すらわからず、起業に対する恐怖心が生まれませんでしたから。
桺本さん:唐溪さんはいつからジョインされているのですか? 唐溪さん:私は去年の6月くらいから関わらせて頂いています。私もお坊さんをしているので、それがきっかけで誘っていただきまして今に至ります。大学で動物行動学を学んでいたこともあって、元々環境は興味のある分野でして、喜んでジョインさせて頂きました。
桺本さん:2.5%が寄付される、とのことですがなぜ2.5%なのですか? 竹本さん:初め、事業計画を作ったときは全額寄付をしようと思っていたんです。でも、それでは事業が成り立たないので、限界の最大額として2.5%を設定しました。
桺本さん:寄付先の団体はどのように集められたのですか? 竹本さん:基本的に寄付者はTERA Energyのビジネスモデルや考え方に賛同してくださった団体にお願いしていまして、こちらからお声をかけさせていただくことはあまりありません。なので、ユーザーさんからご希望の寄付先をお聞きすることが多いです。
桺本さん:寄付者同士で繋がりを持つことはあるのですか? 竹本さん:まだまだこれからではありますが、ユーザーさんは感覚や理念などの生き方の肌触りが近い人が多いんです。なので、もっと交流会を積極的に行っていきたいと考えています。
桺本さん:唐溪さんはTERA Energyにおいてどのようなことをされているのですか? 唐溪さん:寄付先団体さんをTERA Energyを通じてどのようにPRしていけるのか、という点で、寄付先団体さんと一緒に寄付金額を増やせるように取り組んだり、団体さん同士で繋がりを持つためのイベントを企画したりしています。やはり、寄付先として多くの方に選んで頂きたいですし、うちとしても沢山の寄付金が集まって欲しいと考えています。団体さんと一緒に何ができるのかが重要だと思います。
桺本さん:TERA Energyの電気はどうすれば買えますか? 唐溪さん:TERA Energyのホームページから買う事ができます。大体10分もあれば手続きは完了しますので、お時間もさほどかかりませんし、もし電力会社をうちに乗り換えていただく場合には、そのお手続きはこちらで完了させて頂きますので手間もかかりません。今は電力もネットショッピング感覚で買える時代です。気軽に買えるようになった事で、約800社もある電力会社の中から、何を基準に電気を選んで買えばいいのかがわからなくなると思います。その時はぜひ、自身の価値観など、自分の中で最も大切にしたいポイントを軸に選んでもらえたらいいかな、と。
竹本さん:今の世の中は経済的合理性が基準となって選択を迫られることが多くありますよね。電気はその典型例でして、どこの会社も同じ質で料金勝負をしている状態です。僕はそういう基準で選んでいく生き方は、いずれどこかで苦しくなるんじゃないかと考えています。できれば、それぞれの電力会社が持つ理念を一度確認してから電気を選んでいただくほうがソーシャルグッドなのかな、と思います。 桺本さん:確かに、自分が今どんなエネルギーを使っているのかなんて、しっかり考えたことがありませんでした。良いきっかけになりますね。
桺本さん:使うエネルギーはTERA Energyで選んでいるのですか? 竹本さん:TERA Energyもそうですが、電気小売事業として経済産業省の認可を受けている電力会社は、発電所と直接契約をして電気を調達することができます。なので、再生可能エネルギーだけを選んで供給してもらうことが可能になっています。TERA Energyはみんな電力さんとパートナーシップを組んで、こだわりの電気を調達しています。
※右側:TERA Energy株式会社 コミュニティマネージャー 唐渓 悦子さん
中央:TERA Energy株式会社 CEO 竹本 了悟さん
左側:モデレーター 桺本 頌大さん
桺本さん:具体的な夢はありますか? 竹本さん:街はもちろん、最終的には国をつくりたいと考えています。僕らのユーザーさんの中には、今の世の中に違和感を持っておられる方が多くいらっしゃいます。その根本には“貨幣経済”がある。なので僕は、資本主義だとか共産主義だとか、そういうものに縛られない新しいコミュニティを作っていきたいんです。最近ではバーチャル空間や暗号資産などがありますので、そういったものを利用しつつ、リアルとオンラインをハイブリットに行き来出来て、1人の中にいくつもの居心地の良い場所を作れたら良いな、と思います。 桺本さん:とても優しい国ができそうですね。
桺本さん:最後に起業家を目指す方に向けてメッセージを! 唐溪さん:私は起業メンバーではなく、自分で何かしたい!というエネルギーはありません。ただ、目の前にいる相手を精一杯応援し、支えたい、という気持ちは強くあります。そういう部分がモチベーションになって起こす起業もありだと、私は思います。 竹本さん:居心地よく生きるコツは自分に嘘をつかない事、だと思います。損得感情や、周りに流されて生きるのではなく、できるだけ自分の考えをはっきりさせてから起業すると良いと思います。行き当たりばったりだったとしても何とかなりますし、自分の本音をちゃんと出せばそれに賛同してくださる方は必ずいます。とりあえず、何か強い意志をお持ちならば、ぜひ起業してみてください。
約1時間にわたって行われた今回のイベント。
寄付、というのはどうしても勇気がいる事。したくてもできない、というもどかしい思いをされている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。これをきっかけにTERA Energyを利用して、ぜひお気軽に寄付をしてみては?
(レポート作成:澤村 花霞)