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Kyoto Startup Monthly Discussion #16レポート(2022/9/21開催)

Kyoto Startup Monthly Discussionは、京都から若い世代の起業家を創出するため、京都で活躍する先輩起業家とのパネルディスカッションや交流を通して、起業に対するハードルを下げ、京都発の起業家や新たなビジネスの種を発信していくことをミッションとしたイベントです。

今回は「クラシックウォッチの魅力を京都から世界へ」をテーマに、株式会社KUOE GLOBAL CEOの内村 健二さんをゲストに迎え、モデレーターの桺本さんを通じてお話をお伺いしました。

株式会社KUOE GLOBALは、クラシックデザインにフォーカスした日本製腕時計の魅力を世界中の人に届けることをビジョンに掲げ、アンティークを基調とした、クラシックな腕時計を製造から販売まで全て管理されています。内村さんが大学時代、イギリスのロンドンに語学留学に行った際、たまたま立ち寄った店で見かけたアンティークウォッチに感銘を受け、クラシックな腕時計ブランドを自分で作りたいと思うようになったそうです。クラウドファンディングでの資金調達に成功し、世界中の顧客をターゲットにEC特化型のビジネスモデルを展開されています。

※右側:株式会社KUOE GLOBAL CEOの内村 健二さん
 左側:モデレーター 桺本 頌大さん

桺本さん:大学卒業後、すぐに起業されたのですか?
内村さん:いえ、一度京都にある、主に腕時計を扱っているネット通販の会社に就職しまして、腕時計やネット通販に関する知識を見つけたのち、独立しました。
桺本さん:就職した時から、起業することを見据えていたんですか?
内村さん:そうですね、アンティークウォッチに出会って、僕も作りたいと思い立った時に、全く専門知識がない中で始める、というのは流石に厳しいと思いまして、1回その業界に入って勉強してみよう、ということで就職しました。

桺本さん:アンティークウォッチとクラッシックウォッチの違いは?
内村さん:アンティークウォッチは、電池を動力源とするクオーツ式より前に作られた、機械式の腕時計のことを指します。うちはその定義には該当しないため、新しい枠組みを作ってしまおう、ということでクラッシックウォッチと名付け、製造、販売をしています。

桺本さん:それではクラッシックウォッチの定義とは?
内村さん:一応、自社が独自で定義としているものとして、時計の直径が35mmで、かつ、フラットではないドーム状のガラスを採用していることが挙げられます。

桺本さん:昨年起業されてからここまですごく順調、とのことですが、何か秘訣はありますか?
内村さん:円安の影響もあるんですけど、クラッシックウォッチは海外で結構人気があって。最近逆輸入ブランド化しています。

桺本さん:やりたい人の多い、いわゆる越境のDtoCですね。何か戦略はあるんですか?
内村さん:前職で通販に関する知識を身につけていた、というのと、こういったファッションアイテムなんかを周知させるためには、写真や動画を撮ることも重要ですね。

桺本さん:最初から海外進出は考えていましたか?
内村さん:そうですね、海外からのご注文を受けられるようなシステムを最初から構築していました。イギリスに行っていた時に、少し感じていたんですが、向こうの人は古いもの、例えば街並みとか、そういったものを大切にするスピリットが物に対してもあるような気がして。それだったらクラッシックウォッチのようなデザインは、海外では特にウケるんじゃないかな、とは考えていましたね。

桺本さん:小さい規模で時計メーカーが立ち上がることは、業界ではどのくらいあることなのですか?
内村さん:マイクロブランド、と呼ばれていますが、あるにはあるものの、自社だけで製造販売を行っているところは少ないと思います。

桺本さん:今後の展開として、十分ECだけでやっていけている中で、あえて実店舗を構えたい理由はなんですか?
内村さん:やっぱり、実物を見て買いたい、というお声を多くいただくことが理由にあります。『今度日本に行くんだけど、どこに行けば実物が見れる?』というDMを頂くこともあって。京都で店舗を出すことで、そういった需要も取り込めるかな、と。

桺本さん:生産体制について教えてください。
内村さん:今は3名で。パーツを仕入れて、ほぼ組み上がった状態で届きます。そこから細かいパーツの取り付けや、精密検査などを自社で行っています。

桺本さん:OEM需要もかなりあるのですか?
内村さん:自社で組み立てているものは、日本製になります。 腕時計なんかの精密機器のジャパンメイドは、未だにネームバリューがあるらしくて、特に腕時計に関しては根強い人気があります。そこで、うちで製造、組み立てまでやって欲しい、とお声がかかることもあります。

桺本さん:法人にする前と事業方針は変わりましたか?
内村さん:特に変わっていません。ただ、当時はまだ自社で組み立てとかはやっていなくて、結構コストがかかっていたため、今より商品単価は低かったです。

桺本さん:時計の会社を作ると決めた時、まず何から始めましたか?
内村さん:やっぱり、パーツの仕入れ先を探すところからですね。最初、探すときは大変でした。前職のツテを使ったりしてなんとか。

桺本さん:SNS広報はインスタグラムをメインに使用されているのですか?
内村さん:そうですね、2万数千人ほどのフォロワーがいます。海外の方が多くて、特に北米からのフォローが多いですね。 アメリカの方はクラウドファンディングなどで、そのブランドのバックボーンに共感して支援してくださる方が多いらしくて、その辺りがもしかしたら影響しているのかもしれないです。

桺本さん:クラウドファンディングについて詳しく教えてください。
内村さん:創業の3ヶ月後くらいにやりました。広告費等で手元にはあまり残らなかったですが、当時スタートしたばかりのブランドでしたので、とにかく周知に力を入れました。

桺本さん:マーケティングはご自身でされていたのですか?
内村さん:今は任せているんですけど、当時は1人でやっていましたね。
桺本さん:マーケティング戦略がきっちりしていて、すごいですね。EC、クラウドファンディング、SNS、これらを上手く活用するのがBtoCブランドの大切なところですね。

桺本さん:これから起業する人に向けてメッセージを!
内村さん:若いうちに始めたほうがいいと思います。僕が起業したのが29歳の時。もっと早くに始めておけばよかったな、と。 若いうちの方が背負うものが少ないので、ちょっと楽観的に、とりあえずやってみよう、くらいの軽い気持ちで行けば案外うまく行くんじゃないかな、と思います。学生起業される方は、めちゃくちゃ尊敬します。すごいな、って。是非やるべきですね。

約1時間にわたって行われた今回のイベント。
夢にまで見た自分のブランドを立ち上げるため、計画的にしっかりと知識をつけた上で、起業された内村さん。
夢をただの夢で終わらせず現実にするために努力をすることは、とても大切だなと感じます。

(レポート作成:澤村 花霞)

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