イベントレポート
Kyoto Startup Monthly Discussion #17レポート(2022/10/19開催)
Kyoto Startup Monthly Discussionは、京都から若い世代の起業家を創出するため、京都で活躍する先輩起業家とのパネルディスカッションや交流を通して、起業に対するハードルを下げ、京都発の起業家や新たなビジネスの種を発信していくことをミッションとしたイベントです。
今回は「販売業DXに使える、攻めのSNS販促」をテーマに株式会社dTosh CEOの平尾 俊貴さんをゲストに迎え、モデレーターの桺本さんを通じてお話をお伺いしました。
株式会社dToshは、教育を通してDXを進めておられます。事業内容はDX研修やセミナー、DXの伴奏支援、そしてシステム開発やSNS支援など多岐にわたり、支援を受けた企業は成果を出しながら、自社で仕組みを構築することができます。教育者が持つ悩みをIT技術で解決することをミッションに掲げ、最先端のIT技術を利活用して、現場で活躍する指導者にとって本当に役立つシステムやサービスを提供し、日々新たなイノベーションを生み出しています。
※右側:株株式会社dTosh CEOの平尾 俊貴さん
左側:モデレーター 桺本 頌大さん
桺本さん:起業のきっかけを教えてください
平尾さん:僕はカナダにあるMcGill Universityで研究員をしたのち、アメリカにあるABB Corporate Researchにてソフトウェア開発者として働いていました。そこから現在に至った経緯として、アカデミックにいるときにひたすら論文を書いていた過去があります。研究成果っていうのは結局、論文を書いたらほぼ終了で、ビジネスの人は論文なんてほとんど読みません。研究費を国が予算をつけて、それが技術を産み出し社会還元され、企業が活用することによって経済が成長する、という循環が本来のスタイルなのに、実際は研究して、論文を書いて終わり。そこで僕は、ビジネス側とアカデミック側の間に立って、社会実装するためのギャップを埋めていけるような、架け橋になれればいいな、と思って、アカデミックから現在の業界へ移ってきました。
桺本さん:今は事業としてどのようなことをされていますか?
平尾さん:DXしたい、と考えておられる企業さんのサポートをしています。共通点として、DXと言ってもまず何をしたらいいのかわからない、という方がほとんど。それをわかるようにする、のがDX研修やセミナー等の伴奏支援です。そこから、どこを改善していくべきかを洗い出し、何をすべきかを決めて、いくつかのステップを踏んで進んでいきます。もし新しいシステムを導入することになった場合は、開発支援などもさせていただきます。コンサルティングさせていただいた際に、業務効率化・省力化がベースであればシステム開発を、SNSの活用に問題が生じていれば、SNS活用のサポートをさせていただきます。
桺本さん:特にSNSなんかは、業種によって合う、合わないがあるかと思うのですが、どのような発信をされているのですか?
平尾さん:製造業なんかも、SNSを活用しようと思えばできます。例えば、梱包作業をしている動画をひたすら流すとか、中毒性があって見てしまうんですよ。そこから、実は梱包している商品はこんなものですよ、とPRするんです。でも製造業のニーズとしてはやはり、業務効率化のほうがありますね。今までは大量生産、人海戦術でやってきたものの、時代も変わり、人も少なくなってきましたから。少量化していこう、というのが切実なニーズになってきていますね。
桺本さん:オンラインでの教育ビジネスもされている、とのことですが、それはどういったものですか?
平尾さん:もともと教育が好きだったので、アメリカにいるときに法人研修をオンラインで実施していまして。その時、僕はプログラミングを教えて、デジタル人材を育てていきたい企業に対して研修をしていました。ただ、アメリカからだと顔と音声しかわからないんです。プログラミングって、実際にコードを書いているところが見えないと、指導にもならなくて。そこで、参加者全員が入力していることが、リアルタイムで見ることのできるシステムを作ったんです。それが驚くほど便利で。 更に作ってから1ヶ月後くらいに、ちょうどコロナが流行り出して、いろんな大学や企業さんへのオンライン研修などに使っていただけたんです。そこが弊社のスタート地点で、システム導入をさせていただく際に、教育現場等で起こっている問題を知り、その他の事業を走らせていきました。
桺本さん:イベントタイトルにもある、「攻めの販促」とは、どういうことですか?
平尾さん:DXには『守りのDX』と『攻めのDX』というのがあるんです。守りのDXとは、社内の業務効率化を行い、社内を守っていくDX。攻めのDXというのは、業務の効率化は置いておいて、まず売り上げ成長を見て、売り上げのトップラインを伸ばして行くDX。そのために、集客力の高いSNSで次世代へ勝ち進める販路を作っていきます。
桺本さん:どのくらい効果があるのですか?
平尾さん:これまで1000フォロワー未満だったところが、5000フォロワーまでいったりしますが、フォロワーが増えるだけではダメなので、どんなユーザーがフォローしてくれているのかを分析しています。PRしたい動画がどのくらい試聴されているのかが肝になってくるので、どのような視聴者をつけるか、というのにこだわっています。
桺本さん:SNSの運用に、企業は人員を割くべきですか?
平尾さん:割いた方がいいのはいいですが、こちらに丸投げしていただいても問題はないです。ただその場合、仕組みがどうしてもこちらに残ってしまうので、いずれ余裕が出てきたら担当をつけていただき、仕組みを引き継いでいただければいいかな、と。自社でやっていけるようになることが、最終的な出口ですね。
桺本さん:今後の展望を教えてください
平尾さん:最近ニーズとして増えてきているのが、SNSで単純に発信して行くだけじゃなくて、顧客の声をコメントで集めたい、というニーズ。お客さんのコメントの中には、新商品の開発のネタなんかが詰まっているので、そこをデータ分析し、新規事業を考えて行く。次はそういうパッケージを作って展開していこうかな、と考えています。
桺本さん:これから起業する人に向けてメッセージを!
平尾さん:僕は起業する前に『社長になる前に、どこかのスタートアップに入ってビジネスのイロハを知ってから社長になったほうがいい』と、よく言われたんですが、結局社長から始めました。つまり、他人からのアドバイスというのは、吸収する分にはいいのですが、言いなりにはならずに、己の道をある程度貫くべきだと思います。その道でしか見えないことが必ずありますし、その方が近道なので、ちゃんと自分を持って行動してほしいな、と僕は思いますね。
約1時間にわたって行われた今回のイベント。
SNSによって世界中の人々が繋がることのできるようになった、現代社会。
目まぐるしく変化する世の中で、ニーズや流行もどんどん移り変わっていきます。
その波にうまく乗るサポートをしてくれるdToshは、現代社会の救世主と言えるのかもしれませんね。
(レポート作成:澤村 花霞)